大阪大学 消化器内科学 自主臨床研究

 
研究課題 炎症性腸疾患増悪における環境因子に関する解析
実施期間 2019年3月31日まで
研究機関 大阪大学 消化器内科学
主任研究者 竹原 徹郎(大阪大学消化器内科学・教授)
研究目的 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎/クローン病)の原因は明らかになっておらず、近年、これらの病気の発症や増悪について、我々を取り巻く環境要因が影響を与えていると言われております。環境要因の一つである季節と病気の増悪との関連については様々な報告がありますが、一定の見解を得られていません。また、精神ストレスや睡眠障害も環境要因の一つと考えられており、それらは病気の活動性や増悪に関連していると言われております。我々が以前行った研究では、炎症性腸疾患の増悪は冬に多く、精神ストレスと睡眠障害が病気の活動性に関連する事が認められ、炎症性腸疾患の増悪のパターンとして季節による増悪と精神ストレスによる増悪は異なる可能性がある、といった結果が得られましたが、後ろ向きのアンケート調査のため、昔の事で記憶があいまいになっていて、思い出すときに誤りが生じる可能性があります。そのため、本研究では、この1年を通しての病気の活動性を評価することで炎症性腸疾患の増悪と環境要因(季節、精神ストレス、睡眠障害)との関連をより正確に解明したいと考えております。
また、通常、私たちの腸内には様々な細菌やウイルスが存在しており、免疫システムの調整を行っていると言われております。炎症性腸疾患の患者さんでは腸内細菌叢が変化しており、疾患発症や増悪に何らかの役割を果たすと言われております。更に、炎症性腸疾患の患者さんでは腸内細菌は経時的に不安定といわれておりますが、季節による変化については十分に検討はなされておりません。そのため、本研究では更に炎症性腸疾患の増悪の季節性と腸内細菌叢の季節的変化について検討を行いたいと考えております。このように疾患増悪と季節性を解明することで、新しい診断法が開発されたり、それらの疾患の原因解明、新しい治療法の開発につながったりする可能性があると考えています。
対象 以下の選択基準を全て満たし、除外基準に該当しない患者さんを対象とします。(200名)

選択基準
・大阪大学医学部附属病院にて通院加療中のIBD患者(クローン病、潰瘍性大腸炎)
・18歳以上の患者
・性別は問わない
・多施設共同疫学研究「炎症性腸疾患の疾患予後や治療効果解析に関する多施設共同観察研究」(承認番号13183)に登録されている患者

除外基準
・完全成分栄養療法中の患者

過去に包括同意を得て検体保存を行った患者の中で上記基準を満たした患者も対象とさせていただきます。
研究方法 本研究に同意いただきましてから1年間、各季節ごとに計4回採血をさせていただき、日常診療で行っている白血球数やCRP等の値を調べるとともに、その際10cc以下の血液を余分にご提供いただき、炎症に関わる蛋白質等の解析を行います。また、腸内細菌や微生物の解析を行うために、少量の糞便を各季節ごとに計4回ご提供いただきます。また、各季節ごとに計4回問診票を記入いただきます(記載にかかる時間は5~10分程度です)。これらにより、精神ストレスや睡眠障害と腸内微生物との関連、また疾患増悪との関連について解析したいと考えております。
利用する者の範囲 大阪大学消化器内科および関連研究機関において、大阪大学医学部附属病院および各関連病院のデータを利用、解析します。
試料・情報の管理について
責任を有する者の
氏名または名称
大阪大学消化器内科学 新崎 信一郎(講師)
プライバシーの
保護
本研究では炎症性腸疾患患者さんの血清および便検体などを研究対象とします。 プライバシー保護のため、患者さんが特定できないようにデータを処理した上で研究解析を行います。また、研究結果を公表する際には、患者さん個人が特定されることはありません。ご自身のデータを使ってほしくないとお考えの場合は、2016年3月31日までに下記にご連絡ください。
本研究に関する
問い合わせ先
大阪大学消化器内科学 新崎 信一郎(講師)
連絡先電話番号:大阪大学消化器内科学(06-6879-3621)