大阪大学 消化器内科学 自主臨床研究
研究課題 | ゲムシタビン不応切除不能進行膵癌に対するゲムシタビン+S-1併用療法 vs S-1療法のランダム化第II相試験 |
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実施期間 | 2016年12月31日まで |
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研究機関 | 大阪大学医学部附属病院 大阪府立成人病センター、 住友病院 市立池田病院、 近畿中央病院 大阪厚生年金病院、 市立伊丹病院 大阪府立急性期総合医療センター、 NTT西日本病院 八尾市立病院、 大阪回生病院 大手前病院、 大阪南医療センター 済生会千里病院、 大阪労災病院 西宮市立中央病院、 大阪警察病院 大阪医療センター、 関西労災病院 東大阪市立総合病院、 市立芦屋病院 |
主任研究者 | 竹原 徹郎 |
研究目的 |
膵癌の二次治療に対する明確なエビデンスはなく、本邦ではGemcitabine(GEM)不応切除不能膵癌に対する二次治療として、S-1単独療法がおこなわれることが多い。 本研究ではGEMまたはGEM+Erlotinibに不応となった切除不能膵癌に対するGEM+S-1併用療法(GS療法)の有効性および安全性を検討するため、S-1療法を同時対照としたランダム化第II相試験を行うことを目的としている。 大阪大学および関連施設の消化器内科にて行う多施設共同臨床試験である。 |
対象 |
対象:適格基準(*1)を満たし、除外基準(*2)に該当しないGEM不応切除不能進行膵癌患者 目標症例数:116症例 (*1)適格基準 以下のすべての条件を満たすものとする。 1) 切除不能進行膵癌であると診断される症例、ただし再発症例は除く(原則、病理学的検査により腺癌または腺扁平上皮癌であることが確認されている症例) 2) 年齢が20歳以上80歳未満であること 3) Performance Status(ECOG)が0、1のいずれかであること 4) 前化学療法としてGEMまたはGEM+Erlotinibが実施され、RECIST Ver 1.1に基づく画像診断による増悪所見のため治療中止になり二次治療にあたる症例 5) 前化学療法最終投与日から2週間以上は経過していること(Erlotinibは除く) 6) 経口摂取が可能であること 7) 測定可能病変を有する症例であること。なお、本試験におけるにおける測定可能病変とは以下の通りである(RECIST ver1.1より)。 ① 5mm以下のスライス厚のCTにて最大径10mm以上 ② 5mmを超えるスライス厚のCTにて最大径がスライス厚の2倍以上 8) 閉塞性黄疸症例では適切な減黄術を施行されていること 9) 主要な臓器機能(骨髄、肝、腎、肺等)が保持されていること * 白血球数:3,500/mm3以上 * 好中球数:2,000/mm3以上 * 血色素量:9.0g/dl以上 * 血小板数:100,000/mm3以上 * 総ビリルビン数:2.0mg/dl以下 * ASTおよびALT値:150IU/L以下 * クレアチニンクリアランス:60 ml/min以上 (Cockcroft-Gault※予測式でも可) ※ 男性CCr = 体重×(140-年齢)/(72×クレアチニン) 女性CCr= 体重×(140-年齢)/(72×クレアチニン)×0.85 10) 本試験参加に関して、患者本人から文書による同意が得られていること (*2)除外診断 以下の項目のいずれかに該当する患者は除外する。 1) S-1、5-FUなどフッ化ピリミジン系薬剤の投与歴がある症例 2) 重篤な合併症を有する症例 (間質性肺炎または肺線維症、腸管麻痺、腸閉塞、コントロール困難な糖尿病または高血圧症、6か月以内の心筋梗塞の既往もしくは不安定狭心症、肝不全、腎不全など) 3) 活動性の重複癌(同時性重複癌および無病期間が5年以内の異時性重複癌、ただし 上皮内癌や粘膜内癌相当の病変は活動性の重複癌に含めない)を有する症例 4) Gemcitabineに対して重篤な過敏症の既往がある症例 5) 原発巣に対する前治療に放射線治療を施行している症例 6) 局所または全身性の活動性感染症を有する症例 7) HBs抗原陽性またはHCV抗体陽性 8) 胸部への放射線治療を施行している症例 9) 水溶性の下痢を呈する症例 10) 症状を有する中枢神経系への転移がある症例 11) 精神疾患の合併により本試験への登録または参加が困難と判断される症例 12) 妊娠中、授乳中、妊娠の可能性がある、または挙児希望のある女性パートナーの妊娠を望む男性 13) フルシトシン、フェニトイン、ワーファリンカリウムを使用している症例 14) その他、担当医師が本試験を安全に実施する上で不適当と判断する症例 |
研究方法 |
適格基準を満たし除外基準のいずれにも該当しないことを確認後、同意を取得し、WEBにて登録を行う。WEB登録を行うと自動的に、Gemcitabine+S-1群(GS療法)およびS-1療法群のいずれかの治療群にランダムに割り付けられる。 GS療法は、Gemcitabineを1日目、15日目に投与し、S-1 を3週間内服1週間休薬とし、28日間を1コースとする。本研究におけるGS併用療法はS-1のdose intensityを高めたレジメンを採用している。S-1療法群はS-1を4週間内服2週間休薬とし、42日間を1コースとする。治療はプロトコールに定められた治療中止基準に該当するまで治療を継続する。 主要評価項目は、無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、奏効率、病勢制御率、比較薬剤強度、治療成功期間、有害事象の発生頻度と程度である。 本試験においてGEM+S-1併用療法がS-1療法に比べ、GEM不応切除不能膵癌の二次治療として有効性および安全性が示されれば、新しい治療法のオプションを提案することができると考えられる。 |
プライバシーの 保護 |
本研究では、大阪大学および関連施設にて切除不能膵癌に対して化学療法が行われている患者さんの治療経過を研究対象とします。 プライバシー確保のため、患者さんが特定できないようにデータを処理した上で研究解析を行います。また、研究結果を公表する際には、患者さん個人が特定されることはありません。 |
本研究に関する 問い合わせ先 |
大阪大学消化器内科学 重川 稔(助教) 連絡先電話番号:大阪大学消化器内科学(06-6879-3621) |


