大阪大学 消化器内科学 自主臨床研究
研究課題 | 肝細胞癌に対する新規抗癌剤の副作用ならびに治療効果に関わる遺伝因子の網羅的遺伝子解析(Genome-wide association study:GWAS)国内共同研究 |
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実施期間 | 2017年3月31日まで |
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研究機関 | 大阪大学 消化器内科学 および以下の、厚生労働科学研究費補助金・肝炎等克服緊急対策研究事業「肝がんの新規治療法に関する研究」班参加施設(参加予定施設を含みます) 金沢大学、独立行政法人・国立国際医療肝炎センター 東京大学大学院医学系研究科・人類遺伝学教室、福井大学 愛媛大学、鳥取大学 千葉大学、山口大学 杏林大学、東北大学 昭和大学、兵庫医科大学 近畿大学、岐阜大学 岡山大学、虎の門病院 久留米大学、財団法人佐々木研究所附属杏雲堂病院 福井県済生会病院、埼玉医科大学およびそれらの関連施設 なお、本研究の進行にともない,共同研究機関と研究分担者が追加されることがあります。 |
主任研究者 | 竹原 徹郎 |
研究目的 |
わが国において年間約3万人が新たな肝臓癌の診断を受けており、癌死の3位を占めています。
肝細胞癌(HCC)は、B型およびC型慢性肝炎あるいはウイルス性肝炎以外の種々の慢性肝疾患を背景として発生し、その多くは肝硬変を合併しています。HCCの治療において手術療法はもっとも確実性が高い治療法ではありますが、多くの症例で病期の進行および背景の肝機能の低下のため手術を施行できません。その場合、化学療法が選択されますが、標準的な化学療法は確立していませんでした。2008年7月に分子標的薬であるソラフェニブの進行肝細胞癌への有効性が大規模二重盲検試験により示され、2009年5月に保険認可が得られました。同時期に脂溶性シスプラチン誘導体であるミリプラチンが切除不能肝細胞癌に対する肝動注薬として開発され保険認可されています。 一方で、これら新規薬剤の治療効果の予測は困難です。副作用については、特にソラフェニブについては、背景肝機能の低下している症例ほど種々の副作用が高頻度に出ることが示されていますが、それ以外の副作用を規定する因子はあきらかにはされていません。大規模試験のサブ解析において、日本人には副作用は強くでるものの、効果も若干強めであることが示されましたが、その原因は解明されていません。 そこでHCC症例の検体(DNAおよび血清)を用いて、全遺伝子の遺伝子多型を包括的に解析する網羅的遺伝子解析(Genome-wide association study(GWAS))を施行し,その解析結果から日本人における肝細胞癌に対する新規抗癌剤の副作用ならびに治療効果に関わる遺伝因子を明らかにします。 本研究では、日本人のHCC患者を対象としたGWASを、金沢大学を中心とした全国規模の共同研究として行うことを目的として研究計画が立案されています。臨床検体は、主に厚生労働科学研究費補助金・肝炎等克服緊急対策研究事業「肝がんの新規治療法に関する研究」班に参加している施設の症例の中で,詳細な患者情報が存在する症例を用います。遺伝子解析は、GWAS研究で日本人のC型慢性肝炎患者のインターフェロン治療反応性とIL28Bの遺伝多型との関係を発見した実績を有する溝上雅史博士(現、独立行政法人・国立国際医療肝炎センター 研究センター長)との共同研究として行います。 |
対象 |
大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学講座にて,2009年4月以降に新たに保険適応となった新規抗癌剤により治療された肝細胞癌症例を対象とします.肝細胞癌の診断は生検あるいは画像診断によります.年齢,性別,診断確定日,転機,その他詳細な臨床情報が存在し,かつ口頭および文書で説明した後、文書で同意を取得できる成人患者さんを対象とし,レトロスペクティブに解析を行います。 共同研究である厚生労働科学研究費補助金・肝炎等克服緊急対策研究事業「肝がんの新規治療法に関する研究」班では300例を予定し、当科では新規抗癌剤治療を施行した肝細胞癌症例10例を予定しています。 |
研究方法 | 末梢静脈血20mlを採取します。採取された検体(DNAおよび血清)は、患者さんが特定できないようにデータを処理した上で、金沢大学医薬保健研究域医学系(恒常性制御学)へ送られ、保管されます。解析実施場所としては、SNPsチップを用いた遺伝子多型の網羅的解析(GWAS)を東京大学大学院医学系研究科・人類遺伝学教室にて、次世代高速シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析、Chip-seq解析、Re-sequencing解析を独立行政法人・国立国際医療肝炎センターにて行います。なお、本研究の進行にともない、解析項目、対象遺伝子・分子と解析手法などが追加されることがあり、血液内の特定のタンパク等を測定する必要が生じた際には、保存血清を用いて測定を行います。 |
プライバシーの 保護 |
本研究では肝細胞癌患者さんの血液を研究対象とします。 プライバシー確保のため、患者さんが特定できないようにデータを処理した上で研究解析を行います。また、研究結果を公表する際には、患者さん個人が特定されることはありません。 |
本研究に関する 問い合わせ先 |
大阪大学消化器内科学 阪森 亮太郎(講師) 連絡先電話番号:大阪大学消化器内科学(06-6879-3621) |


