大阪大学 消化器内科学 自主臨床研究
研究課題 | B型慢性肝疾患患者における免疫細胞応答の解明 |
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研究期間 | 研究機関の長の実施許可日~2025年12月31日 |
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研究の対象 |
・2025年12月31日までに当院にB型肝炎ウイルスに罹患した慢性肝疾患で受診された方 ・病歴上、現在B型肝炎ウイルスに罹患しておらず、肝癌を含む慢性疾患や悪性疾患のない者で、医師である研究者が健康人であると判断できる方 |
研究目的・方法 |
現在、B型肝炎ウイルス(HBV)は日本における慢性肝障害の原因の一つであり、日本では100〜130万人がHBVに持続感染していると言われています。B型肝炎は感染した時期、感染時の宿主の免疫能によって一過性感染に終わるものと持続感染するものとに大別されます。持続感染した場合は慢性肝炎から肝硬変へと進行し肝癌を発症する可能性があります。B型慢性肝炎・肝硬変に対する現在の治療では完全なウイルス排除は期待できず、治療目標はHBVのウイルス量を減らして肝機能を正常範囲内に維持することとなります。現時点では核酸アナログ製剤(エンテカビル)やインターフェロン(IFN)治療などが最新の治療法ですが、核酸アナログ製剤においては耐性ウイルス出現の問題、IFN治療においては奏効率が30〜40%と決して治療成績がよいとは言えないといった問題点があります。 このようにHBVに感染しても、治療がよく効く患者さんもいれば治療効果が出にくい患者さんもいることから、治療に対する反応性や経過における疾患の進行の速さなどにはウイルス側因子の他に、感染している側、すなわち患者さんの素因も関与していることが考えられます。 HBVの感染初期には非特異的な免疫反応が重要であり、その後はウイルス特異的な免疫反応がウイルスの排除に役立っています。しかしHBV感染患者さんにおいて、この一連の免疫反応に関与する末梢血リンパ球とその中のある各細胞集団がどのくらい存在するか、といった割合や詳細な働きについてはまだ検討されていません。 本研究ではB型慢性肝炎・肝硬変・肝癌患者さんの末梢血リンパ球と血清成分に注目して検討を行います。もし治療効果と注目している細胞の割合などとの関連が認められれば、B型肝炎治療の際に事前に治療効果が予測できるようになる可能性があります。また、血清中の特殊なタンパク質(サイトカイン)濃度を測定することで、リンパ球などの免疫担当細胞への影響を評価することもできます。 また、本研究ではHBV感染に伴う肝炎・肝硬変・肝癌で通院している患者さんを疾患対象者として解析をするとともに、健康な人の末梢血リンパ球や血清成分との比較も行います。そのように比較することで、病気の特徴を詳しく調べることができ、より科学的に正確な研究を行うことができると考えています。 |
研究に用いる試料・情報の種類 |
情報: ・2025年12月31日までに当院にB型肝炎ウイルスに罹患した慢性肝疾患で受診された方の病歴、治療歴、HBV DNA量、HBV genotype等 ・B型肝炎ウイルスに罹患しておらず、肝癌を含む慢性疾患や悪性疾患のない者で、医師である研究者が健康人であると判断できる方の病歴 試料: ・2025年12月31日までに当院にB型肝炎ウイルスに罹患した慢性肝疾患で受診された方の血清および末梢血リンパ球 ・B型肝炎ウイルスに罹患しておらず、肝癌を含む慢性疾患や悪性疾患のない者で、医師である研究者が健康人であると判断できる方の血清および末梢血リンパ球 |
外部への試料・情報の提供 |
外部へのデータの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。対応表は、個人情報管理責任者が保管・管理します。 個人情報管理責任者 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 小玉 尚宏 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 FAX: 06-6879-3629 TEL: 06-6879-3621 この研究で得られたあなたの血清および末梢血リンパ球を一部、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所に提供します。 利用又は提供を開始する予定日:2024年9月 |
研究組織(利用する者の範囲) |
研究代表者・研究責任者 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 准教授 巽 智秀 研究参加機関及び研究責任者 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 消化器内科 阪森 亮太郎 大阪警察病院 消化器内科 宮崎 昌典 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター 消化器内科 藥師神 崇行 市立貝塚病院 消化器内科 垣田 成庸 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター 肝胆膵内科 大川 和良 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 創薬イメージングプロジェクト 石井 優 |
本研究に関する 問い合わせ先 |
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。 ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。 また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。 照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先: 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 小玉 尚宏 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 FAX: 06-6879-3629 TEL: 06-6879-3621 研究責任者: 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 巽 智秀 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 FAX: 06-6879-3629 TEL: 06-6879-3621 |


