大阪大学 消化器内科学 自主臨床研究

 
研究課題 非アルコール性脂肪性肝疾患患者における肝癌発症・進展機序の解明
実施期間 2025年12月31日まで
研究機関 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 竹原 徹郎
大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科学 江口 英利
がん研有明病院 肝胆膵外科 高橋 祐
鹿児島大学大学院 腫瘍学 消化器・乳腺甲状腺外科 夏越 祥次
鳥取大学医学部 器官制御外科学 病態制御外科学分野 本城 総一郎
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 考藤 達哉
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 脂質シグナリングプロジェクト 進藤 英雄
北海道大学大学院医学系研究院 消化器外科学教室I 武冨 紹信
札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門 時野隆至
仙台厚生病院 肝臓内科 近藤泰輝
新潟大学医学部 産科婦人科学教室 吉原 弘祐
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 鈴木 穣・笠原 雅弘
主任研究者 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授 竹原徹郎
研究目的 非アルコール性脂肪性肝疾患とは、過度な飲酒がないにもかかわらず、肝細胞に脂肪(中性脂肪)が沈着して肝障害を引き起こす病気です。我が国では生活様式の欧米化、運動不足により肥満人口は増加の一途をたどり、成人の健康診断受診者の約10~30%が非アルコール性脂肪性肝疾患と診断されています。非アルコール性脂肪性肝疾患の20%前後においては、非アルコール性脂肪性肝炎を発症し、肝線維化が進行して、肝硬変から肝細胞癌へと進行すると言われています。しかし、非アルコール性脂肪性肝疾患は、その診断の難しさや臨床医の認識不足から適切に診断・加療されていないことも多く、その結果肝がんを早期に診断し治療することが出来ていない症例も数多く認められます。そこで本研究は、非アルコール性脂肪性肝疾患由来肝癌の検体を用いて解析を行い、病理組織型、再発や予後との関係を検討することで、その発症・進展機序を解明し、更には治療標的分子および早期診断新規バイオマーカーを探索することを目的としています。
対象 大阪大学医学部附属病院及び共同研究施設にて肝切除術や肝生検を受けられた20歳以上の患者さんの中で、HCV抗体陰性、HBs抗原陰性、術前3ヶ月以内に切除対象病変に対して他の治療が行われておらず、また生体試料の保存に同意いただいた患者さんを対象とします。
研究方法 年齢・性別・背景疾患・採血/画像所見・前治療に関する情報、手術時の組織学的診断、手術後再発の時期や予後などに関する情報を診療記録で収集します。肝切除術や肝生検で得られた肝組織残余検体中の腫瘍部・非腫瘍部から蛋白抽出、RNA抽出を行い、網羅的なプロテオミクス・トランスクリプトーム解析を行います。また、DNA抽出を行い、一部は札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所ゲノム医科学部門へ送付され、癌で生じる体細胞変異を同定するためにエクソームシークエンスを行います。また、一部は東京大学 大学院新領域創成科学研究科に送付され、トランスクリプトーム解析を行います。また、一部は新潟大学医学部、がん研有明病院においても解析を行います。また、一部は腫瘍部と非腫瘍部において発現変動を有する遺伝子を同定して、その機能解析を行います。また、一部はHE染色、スダン染色、アザン染色により肝脂肪化・炎症・線維化の程度を評価し、免疫組織染色を用いた組織態学的な検討も行います。また、一部は国立国際医療研究センターへ送付され、LC-MS/MSなどを用いた脂質解析を行います。また血清を用いて、肝癌の免疫浸潤を特徴とした新たな分子サブタイプを明らかにする目的でオミックス解析(DNA/RNA/Protein)を行います。これらの情報と臨床情報の統合解析を行い、非アルコール性脂肪性肝疾患由来肝癌の発癌・進展に関する分子の網羅的な同定を行います。
利用する者の範囲 大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 竹原 徹郎
大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科学 江口 英利
がん研有明病院 肝胆膵外科 高橋 祐
鹿児島大学大学院 腫瘍学 消化器・乳腺甲状腺外科 夏越 祥次
鳥取大学医学部 器官制御外科学 病態制御外科学分野 本城 総一郎
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 考藤 達哉
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 脂質シグナリングプロジェクト 進藤 英雄
北海道大学大学院医学系研究院 消化器外科学教室I 武冨 紹信
札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門 時野隆至
仙台厚生病院 肝臓内科 近藤泰輝
新潟大学医学部 産科婦人科学教室 吉原 弘祐
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 鈴木 穣・笠原 雅弘
試料・情報の管理について
責任を有する者の
氏名または名称
大阪大学消化器内科学 小玉尚宏(助教)
プライバシーの
保護
研究対象者のプライバシーは厳重に守られ、また、その他人権に関わる事項についても十分な配慮がなされます。本研究の登録の際には氏名やカルテ番号等の個人情報の匿名化を行うため、研究対象者の名前や個人情報が特定・公開されることはありません。収集した臨床情報に関しては、個人情報の保護に細心の注意を払い、情報の漏洩、紛失、転記、不正な複写などがないように研究を実施します。研究結果は、後日、論文や学会にて発表される可能性がありますが、その場合も患者さん個人を特定する情報が公開されることはありません。また、基礎的な実験は他の研究機関と連携して実験を進めていますので、これらの研究機関の間で研究結果が共有されることもあります。本解析で得られたデータは、他の医学研究を行う上でも重要なデータとなります。従いまして、氏名など個人情報が特定できないように匿名化した上で、解析されたデータを公的なデータベースに登録し、国内外の多くの研究者と共有できる環境を整える予定です。本研究への情報提供を拒否される方は遠慮なく下記問い合わせ先まで申し出て下さい。
本研究に関する
問い合わせ先
大阪大学消化器内科学 小玉尚宏(助教)
連絡先電話番号:大阪大学消化器内科学(06-6879-3621)