大阪大学 消化器内科学 自主臨床研究

 
研究課題 大腸ポリープ切除後出血に対する予防的クリッピングの有用性に関する多施設共同ランダム化比較試験
実施期間 2016年3月31日まで
研究機関 大阪大学 消化器内科学
及び以下の関連施設
大阪府立成人病センター、 大阪府立急性期・総合医療センター
大阪回生病院、 大阪船員保険病院
大手前病院、 貝塚市民病院
市立池田病院、 市立伊丹病院
住友病院
主任研究者 竹原 徹郎
研究目的  大腸腺腫性ポリープの内視鏡的切除は、大腸癌を予防し、大腸癌による死亡を減少させますが、その一方で、大腸ポリープ切除には出血や消化管穿孔といった偶発症の可能性があります。ポリープ切除後出血は手技に関連した主な偶発症の一つで、その予防のために様々な予防処置が考案、報告されています。大腸ポリープ切除後のクリッピングも出血予防処置の一つですが、予防的クリッピングの効果については一定の見解は得られておらず、施設ごとによりその施行状況はさまざまです。予防的クリッピングは後出血のリスクを下げる可能性がある一方で、処置時間の延長、腹部膨満感、腹痛など諸症状増加の可能性、医療コストの上乗せなどのデメリットもあり、本試験は、大腸ポリープ切除後出血に対する予防的クリッピングの有用性を検証する目的で立案、計画されました。
対象 1)内視鏡切除の適応と判断される病変を持つ患者様。
2)病変の最大径が2cm 以下。
3)登録時の患者様の年齢が20 歳以上。
4)全身状態が良い(PSが0、1 )。
5)抗凝固剤内服中の場合は治療に際し一時中断できる。
6)主要臓器機能が保たれている。
7)試験参加について患者様ご本人から文書で同意がある。
予定症例数:合計1080例
研究方法 大腸ポリープ切除予定の患者様から書面での承諾書を得た後、大阪大学未来医療開発部データーセンターの症例登録システムにVPNを介して(Web登録で)症例登録を行います。患者様は治療前に同システムによってクリップ群、非クリップ群に無作為に振り分けられます。
内視鏡治療手技は内視鏡的粘膜切除術(局注の有無にかかわらずスネアで切除する方法)とし、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は今回の対象には含めません。大腸ポリペクトミーは通常の日常臨床に則して行い、クリップ群ではポリープ切除後の潰瘍底をクリップで縫縮してから次の処置に移行します。非クリップ群ではポリープ切除後潰瘍に予防的クリップを行わずに次の処置へ移行します。ただし、非クリップ群であっても、術中出血をきたしている場合にはクリップを含めた止血処置を行います。治療終了後には、手技関連の症状の把握のため、アンケートを取らせて頂きます。
後日、術後出血を認めた場合には、再度大腸内視鏡検査を施行し、出血部位の同定を行います。活動性出血または露出血管を認めた場合などには追加焼灼やクリッピング等の止血処置を行い、止血を確認して処置を終了します。

〈評価方法〉
主要評価項目(Primary endpoint)
・後出血の発生割合

副次的評価項目(Secondary endpoint)
・術中出血割合
・止血処置を要した後出血発生割合
・輸血を要した後出血割合
・穿孔割合
・検査時間、処置完遂割合(治療ポリープ数/全ポリープ数)
・検査後の腹部症状についてのアンケート調査
プライバシーの
保護
本研究では大阪大学および関連施設にて内視鏡的大腸ポリープ切除が施行される患者さんを対象として、予防的クリッピングの有無による治療後の経過を研究対象とします。 プライバシー確保のため、患者さんが特定できないようにデータを処理した上で研究解析を行います。また、研究結果を公表する際には、患者さん個人が特定されることはありません。
本研究に関する
問い合わせ先
大阪大学消化器内科学 西田 勉(学内講師)
連絡先電話番号:大阪大学消化器内科学(06-6879-3621)